なぜBerlinに移住したのか
月並みな理由ですが、一番根底にあったのは日本で感じていた働きづらさです。
邪推ですが、かつての僕に限らず日本で働きづらさを感じている人は少なくないと思います。
しかもほとんどの日本人が日本でしか働いたことがない、にも関わらずです。
欧米では〜〜、という話はよく聞きますが、日本の労働環境に文句ばかり行っていないで実際に行ったれ!と思ったのが始まりです。
日本がイヤだというだけで飛び出したように聞こえますが、実際は次の要素もかなり大きいです。
- 奥さんがヨーロッパ人
- WEBエンジニアなので、技術さえあれば多少の英語の拙さは問題にならない
- 小さい頃から映画好きだったせいか、昔から欧米社会に憧れていた
- 日本ではどちらかというと変わり者の部類だった
- ゴキブリがこの宇宙で一番嫌い
- 蒸し暑い気候に耐えられない
労働環境の違い
ドイツ | 日本 | |
---|---|---|
平均労働時間 / 日 | 8時間 | 9-10時間 |
有給 / 年 | 28-30日 | 12-18日 |
病欠 / 年 | 6週間 | 無し |
まずはざっと基本的なところの比較です。これだけでも日本人は泣きたくなります。
あくまで個人の観測の範囲で書いてますので、ご了承ください。
■ 労働時間
少なくともドイツは残業に対してかなり厳しいです。
まず1日10時間を超える労働は法律で禁止されています。
更に6ヶ月の平均で見た時、1日の平均労働時間は8時間以下である必要があります。
つまり1日8時間以下の労働が法律で保証されているようなものです。
こう書くと「いやいや、そんなこと言っても実際10時間を超えて働くこともあるんじゃないの?」と思う人もいるでしょう。
あくまでWEBエンジニアとしての経験ですが、それはあります。
でも次の日に「昨日めっちゃ働いたから今日は15時くらいに帰らせて」と言えば、
同僚や上司も「OK、了解」くらいのもんです。
そんな経験はないですが、もしその状況で同僚や上司が早退に反対したら、「は?」みたいな空気が流れると思います。
後でも書きますが、「あくまで生活のために働いているのであって、仕事が人生ではない」という当たり前のことが全員の前提条件としてあります。 この当たり前が当たり前ではない空気というのが日本で働いていて辛いことの一つです。
■ 有給
言うまでもなく日本では有給があるのに取れない、取りづらい。
日本語でこの文章を読んでいる人にはなんの説明もいらないでしょう。
ドイツでは有給は全て使えますし、有給を使い切らず年をまたぐなんてアホのすることです。 更に1年に1度は有給を2週間連続で消化する権利が法律で保証されています。だって、まとまった休みがないと旅行できないですから。 日本では考えられないですね。
■ 病欠
英語でSick leaveというのですが、個人的にはこの病欠制度こそ有給よりも大きな違いです。
少なくともドイツでは、体調を崩したとき、このSick leaveを消費して会社を休むことができます。
病気になっても有給を消化する必要はないし、給料が日割りで引かれたりすることもありません。
つまりこのSick leaveによって全ての有給が純然たる有給として機能しているわけです。
病気の時にも有給を使わないといけない日本人の感覚からすると、ドイツは有給が年50日くらいある感覚です。
この制度がない日本では、体調が悪くてもダラダラと働いて悪化させるか、有給を取るか、もしくは休んだとしても日割りで給料が引かれます。
■ 育休を当たり前のようにとる
男女関係なく当たり前のようにさらっと育休をとっています。
僕には子供がいないので、どういう仕組みになっているのか調べていませんが、おそらくこれも法律で保証されている部分が多いと思います。
「来週から育休で1ヶ月休みますー」
「おいすー」
くらいのノリで同僚は育休を使っています。
■ 大きなキッチンがある
これは土地の広さや、オフィス事情、住宅事情的に日本では難しいのですが、ドイツのオフィスには大抵みんなでシェアして使える広いキッチンがあります。
日本と違ってコンビニ文化がないので、逆にキッチンがないのはドイツ人としては考えられないのかもしれません。
■ 求人に年齢や性別制限はない
日本では”30歳まで”みたいな求人がそこら中にありますが、ドイツでそのような求人を見かけることはまずありません。
多分そう書いたとしたら法律的にアウトだと思います。
面接で年齢を聞かれることも一切ありませんし、履歴書に記載する必要もありません。顔写真も貼る必要がありません。
だって関係ないですよね?
ただ、これは別の視点から見ると、日本より遥かに実力主義だということです。 ドイツにきて実感しましたが、日本では未経験の人や経験が浅い人にもたくさんのチャンスがあり、間口が広げらています。 おそらくこれは共通の価値観や物差しが多いこと、日本人なら皆一生懸命に働くという前提があるからこそだと思います。 実質単一民族国家(こう書くと怒る人がいますが)の日本だからこそできることだと思います。
それで成り立つのか
そんなに休みがあって会社やプロジェクトが成り立つのか?と思う人も多いと思います。
僕もそう思っていましたし、今でも少し思います。
ヨーロッパ人は日本より休むのに、なぜ日本人より生産性が高いのか?というのはよくあるトピックですよね。
僕の意見としては、それが彼らにとって当たり前だからだと思います。
30日も有給があって会社が成り立つのか?ではなくて、
30日有給があるのは前提なんです、レベル0のことなんです、スタートラインなんです。
成り立つもクソもありません。
もちろん、今の環境は始めからあったものではなく、先人達が勝ち取ってきた賜物です。
ですが先人達がストライキしたり、革命を起こしたりして戦い続けてきたのも、それが彼らにとってこれくらいは当たり前の権利だという価値観があったからこそだと思います。
なんでもかんでも欧米が進んでいて日本はダメだ、という論調は僕もあまり好きではないですが、労働環境に関しては明らかに日本人の僕たちが学べることが多いと思います。